実務で使える税務セミナー 「経費で落ちる」の意味を理解して、会社のお金の使い方を考えましょう

平成26年度の税制改正は、(3月決算の会社の場合)この3月から適用されることになります。改正内容の一つに、「交際費の損金不算入」の緩和がありますが、これは、交際費を使いやすくして消費につなげようとするのが目的。「経費で落ちやすくなった」とも言い換えることもできますが、「経費で落ちる」の意味を正しく理解しないと、思わぬ浪費を招くことになるので注意が必要です。

スポンサーリンク

税制改正の内容とその効果

平成26年度の税制改正で決まった、交際費のルールの変更は次のようなものです。

 
スクリーンショット 2015 04 10 22 02 43

 

中小企業については、

 

スクリーンショット 2015 04 10 22 10 04

 
このようになっています。

 
「交際費」は、大まかに言うと、販路拡大や仕入れ先の開拓などを目的として、取引先の接待に使うお金のこと。

 
今までは、それが経費として認められていなかったのですが、今回の改正で、飲食費の50%については認められることに。 
(中小法人は、従来のルールとの選択が可能に)

 
経費の範囲が広がり、今後、「経費で落ちる」と言う理由で交際費が使いやすくなると思われますが、その前に、「経費で落ちる」と言うことが、会社のお金にとってどのような意味を持つかを知っておかないと、ムダ使いを増やすだけになりかねません。

 
そうならないために、「経費で落ちる」の意味を正しく理解しておきましょう。

 

 

 

「経費で落ちる」の2つの意味

「経費で落ちる」という言葉には2つの意味があります。

 

1.従業員にとっての「経費で落ちる」

まずは、一般的に会社で使われる際の「経費で落ちる」です。

 
これがよく使われるのは、取引先との接待で使った飲食の費用や、出張の際にかかった交通費などについて、

 
レシートや領収書を経理部に提出することで、会社から費用と同額のお金が支給されるケースです。

 
つまり、

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 10 23

 
ということになります。

 

 

2.会社にとっての「経費で落ちる」

会社にとっては、意味合いが違います。

 
会社は、法人税を支払っていますが、その計算過程で、利益の金額を求めなければいけません。

 
利益の金額は 

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 18 34

 
このように、売上から経費を引いて求めますが、この利益計算における”経費”として認められることを「経費で落ちる」といいます。

 
つまり、

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 19 22

 
ということです。 
経費で認められる額が大きくなればなるほど、税額計算の上で求める利益の額は小さくなります。

 

まとめると、
 
・従業員にとっては、会社からお金が支給される

 
・会社にとっては、経費としてみとめられて、支払う税金が少なくなる

 
ということで、どちらにもメリットがあることには間違いありませんが、その効果は同じではありません。

 
会社にとっての、「経費で落ちる」ことによる節約の効果は、そこまで大きくないことを理解しておく必要があります。

 

 

 

「経費で落ちる」ことによる節約の効果

法人税の計算は、次のような式で行います。

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 30 04

 
この式から、「経費で落ちる」ことでどれくらい、税金の支払いが減るかを考えてみます。

 
具体例を挙げましょう。

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 38 56

 
このような業績の会社を考えます。 
経費はゼロになっていますが、これは、経費として5,000万円使ったものの、税金計算上は経費に認められていない場合を考えます。

 
このときの法人税額は、先ほどの式に当てはめて計算すると、

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 40 37

 
4,000万円になり、これだけのお金が、会社から出て行くことになります。

 

 

一方で、使った経費の5,000万円が、税金計算上も経費として認められる場合、

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 44 49

 
税金計算上の利益が小さくなり、法人税額も小さくなった結果、税金として支払う額は2,000万円になりました。

 
「経費で落ちる」ことによって、少なくなった税金の支払額(節税額)は、「4,000万円ー2,000万円」で2,000万円。 
「経費で落ちる」ことは、会社にとっても節約になることがわかりました。

 
ただ、考えなければいけないのは、その効果の程度。 
冷静になって考えてみると、「経費で落ちる」ことによる節約の効果は、「経費の全額」ではなく、経費の一部

 

スクリーンショット 2015 04 10 23 50 38

 
これだけしかないのです。

 
つまり、会社にとっての「節約」は、経費として認められて税金の額を少なくするよりも、経費を使わない方が、効果があると言うことです。

 

スクリーンショット 2015-04-11 0.26.48

 

もちろん、これは”節約”に限った時の話。 
経費を使わなければ、「会社にお金が残るのか」というとそれもまた違います。

 
使ったお金が、会社にとって意味のあるものになるか、それとも無駄になるかは、 
”支払った金額よりも多くの売上を上げられるか”の一点にかかっています。

 
つまり、会社のお金を使う時に、本当に考えなければいけないのは、「経費で落ちる」かどうかよりも、”使ったお金以上に売上を上げられるかどうか”ということなのです。

 

 

 

まとめ

「経費で落ちる」からと言って、どんどんお金を使ってしまうと、ムダなお金が会社から出て行くことになります。 
会社のお金を使う時には、「支払う金額以上の売上が見込めるか」の視点を持つことが、ムダなお金を使わないために重要です。

 
<おまけ>
今日は朝からセミナーに出席しました。 
内容もさることながら、登壇者によって発表の仕方に大きな違いがあったことで、プレゼンのスキルについても勉強することができました。 
色々メモしたのですが、ひときわ大きく「抑揚がないのはダメ」と書いてありました。 
相当、眠かったようです。