会計士のクライアントとの関わり方 ラガーマンとレフェリーの関係に、会計士のあり方のひとつを見ました

私の事務所が提供するサービスの一つは、顧問契約に基づくお客様の会社の経営サポートです。経営サポートというと、歯に衣着せぬ言葉でズバズバとアドバイスを送るイメージがあるかもしれませんが、私の事務所のスタンスは全く違います。

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フットボールとラグビー ゲーム中のレフェリーとの関わり方の違い

12月も下旬になると、Jリーグだけでなくヨーロッパのフットボールもクリスマス休暇に入り、ほとんどゲームがなくなってしまいます。

 
私はCS放送(スカパー)でフットボールを観戦していますが、いつもの癖でチャンネルを合わせると、ラグビーの中継が流れていました。
この時期は、フットボールがお休みになる代わりに、ラグビーの公式戦が行われているため、プログラムもそちらにシフトしていたのです。

 
ラグビーはそれほど詳しくないので、ぼんやり見ていたのですが、いつの間にか夢中になって見ていました。
その中継では面白い試みをしていて、それに惹きつけられたのです。
何をしていたかというと、レフェリーにマイクをつけてもらって、ゲーム中に何を話しているのかを放送に乗せること。

 
ゲーム中どんな言葉を選手達と交わしているのか、独り言でどんなことをつぶやいているのか、会話の内容から息遣いまで、全てが鮮明に伝わってきます。

 
その中で特に興味深かったのが、レフェリーとプレイヤーとの間で交わされる会話でした。

 
レフェリーとプレイヤーの関係で言うとフットボールの場合は、とにかく自分たちに有利になるように、プレイヤーがファールやオフサイドのコールをレフェリーに要求するケースが目立ちます。

 
プレイヤーとレフェリーの間に不信感があり、プレイヤーは「ちゃんと見てくれ」というアピール、レフェリーは「言うことを聞け」という態度で判定を押しつける、という対立関係にあるように見えてしまうのです。

 
一方、昨日TVで見たラグビーのトップリーグでは、レフェリーはプレイヤーと頻繁にしかも穏やかに会話をしていました。

 
ファールの判定があっても、レフェリー側がプレイヤーに近づいて、
 
「こう見えたからファールになった。もう少し違う角度から当たれば取らないよ。」
「今のプレーの選択は良かったね」
「オフサイドはないからプレイを続けていいよ」
 
など、率直に意見をぶつけて、その都度プレイヤーも積極的に応えていたのです。

 
あれだけ激しいプレーが連続するラグビーで、冷静さを保ちながら、ユーモアを交えた対話を重ね、ゲームの中で信頼感を高めていく。
中継では、その過程が、レフェリーの言葉を通じて手に取るように分かり、深く感銘を覚えました。

 
そんな印象深いレフェリーとプレイヤーの会話ですが、一際、目を引いたのがスクラムでのやりとり。
スクラムは、8人の大男が3列で肩を組んで1つの塊となり、正面からぶつかって、真ん中から投入されるボールを取り合うというプレイです。

 
外から見ると、力ずくで真ん中にあるボールを奪うという、非常に利己的なプレイのように見えますが、レフェリーのマイクから聞こえてくるやりとりからは全く違う姿が見えてきます。

 
レフェリーは、次のようなことを選手に伝えていました。
 
「今のスクラムは、君が下に下がりすぎていたから上手く組めなかった。もう少し我慢して高さを維持しよう。」
「今のは、外の二人の距離が遠すぎたね。もう少し近づいてから組み合おう」
「腕をしっかりロックできていないから崩れたね。苦しいけどしっかり隣の選手を意識しよう」

 
レフェリーはゲーム中で、プレイのアドバイスを送っていたのです。
スクラムはボールの取り合いではありますが、自分達のことだけを考えていたのでは成立しません。両チームが助け合って作り上げるプレイでもあるのです。

 
本質的に利己的にならざるをえないプレイにおいて、レフェリーは外からその様子を観察しながらアドバイスを与えて、両チームに利他的な要素を意識させて、協力関係を作り上げる手助けをする。

 
プレイヤー達もレフェリーのアドバイスを受け止めて、何とか利己的な意識を抑えながら、スクラムを成立させる。

 
レフェリーは、ゲームの当事者であるプレイヤー達が最も見えにくい、「自分たちの姿」を伝えることで、選手達のプレイをサポートする役割を果たしていました。

 

 

クライアントを映す、”鏡”としての役割が仕事の本質と考えています

この時のレフェリーの姿は、私が考えているクライアントとの関係と重なって映りました。

 
私の事務所に依頼を下さるクライアントは、何らかの経営上の課題を抱えていらっしゃいます。
その課題を解決していくのが私の仕事ではあるのですが、その方法は一方的に解決策をお伝えするというものではありません。

 
もちろん、それで上手くいけばいいのですが、ほとんどの場合は私のような外部者からのアドバイスは聞き流されるだけです。
なぜなら、どんな提案であっても、一方的な提案である限り、クライアントは納得されることはないからです。

 
どんな妙案であっても、それを実行されるのはクライアントである、経営者ご自身です。
本人が納得していないプランなど、ご自身の会社で実行することは絶対にあり得ませんし、課題が解決することもありません。

 
私が考えるサポートは単なるアイディアの提案ではなく、「クライアントご自身で気づいていただく」ためのサポート。この部分にこそ、力を入れて仕事をしています。

 
先述の通り、クライアントには一方的な提案では納得していただけません。では「どうすれば納得していただけるか」ですが、その一つの答えが「自分で気づいていただくこと」だと考えているのです。

 
「自分で気づかれたこと」は、誰の言葉よりも説得力があり、最も素直に受け入れることができます。納得して受け入れたことについては、実行へ移すことに躊躇はありませんし、固い決意でやり遂げようとします。

 
現状を変え、課題を解決するために不可欠なのが、この「解決に向けての強い意志」。
一方的な提案では引き出せないものです。

 
そこで私がするのは、クライアントにご自身で気づいていただくために、クライアントである会社さんが「どのような状況にあるか」を分かりやすく見せて差し上げること。

 
客観性の高い財務数値を中心にして、過去の会社の姿や他社の状況との比較によって、今のクライアントの姿を浮き彫りにしていくのです。

 
この点、ラグビーのゲームで、当事者であるプレイヤーが見えていない「自分の姿」を、外から見て「どうなっているのか」を伝え、「どうすれば上手くいくのか」をアドバイスする、レフェリーの立場が重なるように感じました。

 
ビジネスというゲームの中で、主役であるプレイヤーはクライアント。
ですが、プレイヤーだからこそ自分のことは見えづらい。その見えづらいところを、見せて差し上げることが、会計士としてサポートできる重要な部分だと考えています。

 

 

まとめ

ラグビーのゲームでレフェリーは、プレイヤーを映す”鏡”のような役割を果たしていることを知りました。
私の顧問業務でも、クライアント自身では見えづらい「ご自身の姿」を分かりやすくお伝えすることで、課題解決へのサポートを目指していきます。
<おまけ>
私がTVで見たゲームのレフェリーは、プロのレフェリーとしてキャリアを積み、ご自身のマネージメント会社も運営されている方でした。
ビジネスパーソンとしても興味深く、1度お話させていただきたいと思いました。

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