社長で決まる不正の抑止力 コーポレートガバナンスには社長の姿勢が大きく影響します

会社を設立するには、組織を機能的に動かすための仕組みを作らなくてはいけません。会社の収益性と企業価値を高める目的と同時に、不正を防止するための仕組み、いわゆるコーポレートガバナンスです。法律でも整備が義務化されていますが、仕組みが上手く動くかどうかは、結局、社長にかかっています。

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役員同士の監督によるコーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスというと難しく聞こえますが、何も身構える必要はありません。

 
会社がもうけることと、不正を防止することを、同時に達成するために、会社が作る仕組みのことです。

 
もうけを出そうとする行動は、不正(法律に触れそうなことや、粉飾決算で数字を操作するなど)につながりやすい側面があるので、もうけを出すことと、不正防止の両方のバランスを取るための仕組みとしてコーポレートガバナンスがあります。

 

小さな会社ではコーポレートガバナンスは問題になりません

 
会社なら当然のように求められるようなイメージのあるコーポレートガバナンスですが、オーナーが社長をつとめている会社なら、コーポレートガバナンスの問題は出てきません。

 
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なぜなら、会社の意思決定と行動の責任は、オーナーにそのまま返ってくるからです。

 
無謀な事業に投資して大損しようと、不正をして損害賠償で訴えられようと、経営者自身がオーナーとしてもその責任を負うのですから、どんな仕組みで会社を運営しようと、大きな影響がないからです。
(もちろん、オーナーの判断として、厳しい社内ルールを定めることも当然あります)

 
株式会社を前提にお話ししますが、オーナー1人で社長までつとめるような小さな会社(取締役会を置かない会社)について、会社法で定められている主なルールは、会社の意思決定をする取締役を、1人はおいて下さいことです。

 
株式会社では、株主総会も、コーポレートガバナンスの一翼を担う仕組みではありますが、事業に関することはほとんど、取締役に「おまかせ」になっていますので、不正の抑止などについて、あまり意味をなしません。

 
つまり、経営は一手に社長に委ねられていて、その結果、「会社をどのように運営するか」という社長(取締役)の姿勢が、そのまま会社の行動に表れることになります。

 

大きな会社になるとコーポレートガバナンスが重要になります

一方で、オーナーと経営者が異なる会社では、コーポレートガバナンスの問題が重要になります。

 
大きな会社になると、お金を出す人(オーナー)が自分で会社を経営するのではなく、プロの社長を雇って、その人に経営をお願いする仕組みになります。

 

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大規模なビジネスを展開して、大きく利益を出すためには、たくさんの人から多くのお金を集める必要があります。

 
ですが、お金を出す人が必ずしも経営者としての実力がある訳ではありません。

 
本気で会社に利益を獲得して欲しいなら、経営のプロに任せるのが合理的です。

 
そうして、大きな会社では、たくさんのオーナーが存在すると同時に、オーナー以外のプロの経営者が会社経営を行う形になります。

 
こうなると、社長がもうけを出そうと頑張ってくれるのはいいのですが、それが、不正に繋がるリスクを高めます。

 
プロの社長と言えども人間ですから、判断を誤ることもあります。

 
それを何とか取り返そうと無理な投資をしたり、業績悪化を隠すために粉飾を行ったりする気持ちが、どうしても芽生えてしまうのです。

 
反対に、お金を出したオーナーにとっては、無理な投資や、粉飾して作り出した好業績によって社長に報酬を支払うことなどで、会社のお金(=自分たちのお金)を失うことは、決して許せません。

 
そこで、コーポレートガバナンスで、利益の獲得と、不正の防止の両方のバランスを取る必要が出てきます。

 
会社法では、大きな会社について、経営上の重要な意思決定は、3人以上の取締役で構成する取締役会を開いて、多数決で決めるように定めています。

 
社長の暴走を防ぐためのコーポレートガバナンスの一つです。

 
また、取締役は、社長が不正をしていないかを監視する義務があって、不正があったときには株主総会に報告することになっています。

 
さらに、取締役とは別に、社長の行動を監視する監査役を置いて、不正があれば株主総会に報告することも定めています。

 
会社法では、普段、経営を間近で見ることができないオーナーに代わって、取締役と監査役を置き、社長の行動を監視することを、主なコーポレートガバナンスの仕組みにしているのです。
(なお、他の仕組みでコーポレートガバナンスを行うことも認められています)

 
ただ、この仕組みも上手くいっているとはいえません。

 
なぜなら、選ばれる取締役と監査役は、社長の意向に沿った人になってしまうからです。

 
社長を監視する立場になる取締役と監査役ですが、それを選ぶ場は株主総会。

 
株主総会は株主が意思決定をするので、株主の立場に立った取締役を選べそうなものですが、だれを取締役や監査役の候補にするかを決めるのは、取締役会なのです。

 
取締役会は、社長が仕事をしやすいメンバーで構成されますから、取締役会で決める取締役や監査役の候補は当然、取締役と気心の知れた間柄の人材になります。

 
こうした、社長と親密な関係にある取締役や監査役が、社長の監視役として機能するかと言えば、やはり、難しい。

 
自分を昇進させてくれた人を、いくら職務上の義務があるからと言って、監視して告発することは、簡単ではないのです。

 
監視によって社長の不正を防止しようとするのは、あまり現実的ではないということ。

 
社長が、「不正をしないことがオーナー(株主)のためになる」と考えて経営にあたること以外、本質的な不正防止策はないのです。

 

このように見てくると、会社の大きさや会社内の仕組みはあまり関係なく、最終的には、社長の姿勢によって、コーポレートガバナンスの有効性が決まってくると言えます。

 

内部統制での不正対策 その本質も社長です

会社法では役員同士の監視以外にもコーポレートガバナンスの仕組みがあります。内部統制です。

 
内部統制の範囲は広く、業務を正しく行うために整備された会社の仕組みです。

 
業務を正確に効率よく行うため、また、不正を防止するためなどに決められた仕組みで、担当者の業務を上司がチェックするなどのプロセスが内部統制にあたります。

 
内部統制は次のように構成されています。

 

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1つ1つの要素はばらばらに存在するのではなく、相互に影響を与え合う関係にあるのですが、重要性に差はあります。

 
この中で最も重要なのは、1番上にある統制環境。
言葉は難しいですが、会社の風土や文化のことを指します。

 
統制環境は、内部統制の土台にあたるものです。

 
たくさんの人員を投入して、厳重なチェックの仕組みを作っても、多額の予算を使って素晴らしい管理アプリを導入しても、土台にあたる統制環境が、不正に厳しくなければ、機能しなくなります。

 
そして、会社の風土や文化を形成するのは何かというと、トップ、つまり、社長の姿勢です。

 
社長が、利益の獲得にとことん執着するひとなら、それにひきずられて、周りもそのように振る舞うようになります。

 
利益目標に対するペナルティがあるようなら、さらにその傾向は強まるでしょう。

 
私たちも、会社のミーティングなどで話し合いが始まると、その場を取りしきる人の雰囲気に合わせて、話を進めてしまうことを経験したことがあると思います。

 
権限がある人の影響は、やはり強いので、その流れに逆らうのは至難の業です。

 
その反対に、不正に対して厳しい態度で臨む人が社長に就任すれば、周りもそれに同調して、不正に対して厳しい目を向けるようになるでしょう。

 
良きにつけ悪しきにつけ、社長の影響は強力で、内部統制でも社長の姿勢によって機能するかどうかは違ってきます。

 

 

まとめ

不正を防ごうとするなら、社長がその姿勢を見せるしかありません。
監視のための役職をいくつも設置したり、立派な内部統制を整備するより、よほど効果的です。
<おまけ>
気になる本がたくさんあって、夜寝るのが遅いです。
読み始めるとどうしても気になって、最後まで読んでしまうんですよね。
うまく切り上げられるように気をつけなければ。

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