南野拓実選手のザルツブルク移籍とJリーグでの年俸推移 南野選手の移籍の決断は至極真っ当な判断と言わざるを得ません 

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セレッソ大阪に所属する若きスタープレイヤー、南野拓実選手がオーストリアの名門、FCレッドブル・ザルツブルクへ移籍することが決まりました。今回の移籍については様々な意見があるようですが、私は南野選手の判断を支持しています。

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散々だった2014年シーズンの南野選手

ご存じの方も多いと思いますが、南野選手が所属するセレッソ大阪の2014年シーズンはJ2への降格という、最悪の結果で幕を閉じました。


シーズン途中にチームの中心選手だった柿谷曜一朗選手を移籍で失ったという事情もありますが、それ以外にも日本代表の他、ドイツ代表、ウルグアイ代表、といった名だたる選手達を擁していたセレッソ大阪。


J2降格を正当化する理由は一つも見つかりません。


そんなセレッソ大阪の2014年シーズンで南野拓実選手がどのようなポジションだったか。
公式の記録が残っていますので確認してみましょう。


出場試合数:30
出場試合のうち先発した試合数:28
出場時間:2,535分
ゴール数:2
アシスト数:1


途中出場を含めた出場試合時間は2,535分でクラブ4位。
出場時間はクラブ内での序列をはっきり示すものですから、彼が紛れもない中心選手であったことが分かります。


次にゴール数。2はクラブ内で6位。
南野選手はFWとして登録され、ポジションとしては主にサイドハーフとして起用されてきましたが、求められていたのは攻撃的な役割。


ゴールを最優先するセンターフォワードではないものの、同じポジションで使われていた杉本健勇選手が5ゴール上げているのと比較すると全く物足りない数字です。


ゴール数にもまして深刻なのがシュート成功率の低さ。
シュート成功率は、「ゴール数÷シュート数×100」で求める数値ですが、クラブトップのカカウ選手の26%は別にしても(この数字はすごすぎます)、その次に高い永井龍選手が12%、先に触れた杉本健勇選手が8%、であるのに対し南野選手はたったの3%しかありません。


これは極端に低い数字で、1ゴール以上取っている選手は、どんなに低くても5%は越えてくるものですが、それに全く及びません。
攻撃的なセンスと技術の高さで評価されているはずの南野選手ですが、実際はそうではなかったということです。


クラブの状態の悪さが南野選手の成績に影響したと考える方も居るかもしれませんが、これだけのプレータイムが与えられているのですから、主力選手として、クラブの状態を良くする役割も担わなければいけません。


そのために求められるのがゴール。
ですが、シーズンで2ゴールしか決められていないのですから、クラブの状態を悪くした原因すら作ってしまったと言えなくもないわけで、個人の成績のことをクラブの状態に責任転嫁するには、南野選手の立場では無理があります。


こうして、数字で見てくると、南野選手はJ1リーグの中で全くの実力不足だったという真実が見えてきます。


端正なルックスと、19歳という若さ。年代別の日本代表としての活躍と、昨年までの期待感、などが合わさってスタープレーヤーとして扱われてきた南野選手。


ですが、今シーズンの成績と、周りのプレイヤーの構成から客観的に判断すると、昨年までの活躍は、攻撃の手助けをしてくれた柿谷選手や守備で重要な役割を担ってくれた山口蛍選手、シンプリシオ選手といった周りのプレイヤーの助けがあってのもので、個人の実力はそれほどでもなかったと言うことが、現時点での結論です(あくまで”現時点(2015年1月)”での結論に過ぎません)。

FCレッドブル・ザルツブルクは名門 出場は簡単ではありません

そんな南野選手に訪れた移籍のオファー。
行き先はオーストリアのFCレッドブル・ザルツブルクです。


FCレッドブル・ザルツブルクは、飲料メーカーのレッドブル社が所有しているオーストリアの強豪クラブ。
2005年にレッドブルがクラブを買収して以降、優勝5回、2位4回と、3位以下の成績になったことがありません。


国内の好調な成績をバックにヨーロッパのカップ戦にも進出。
ヨーロッパ最高峰のUEFAチャンピオンズリーグでは勝ち上がれませんが、ヨーロッパリーグでは、成績を残すなど、ヨーロッパの中でも一定の地位を築いています。


そんな強豪クラブに南野選手は移籍するわけですが、既に在籍する選手からポジションを奪い取り活躍することができるでしょうか。
残念ながら、それは、非常に難しいと言わざるを得ません。


現在のザルツブルクの攻撃陣を見てみると、
ソリアーノ選手(29歳):19ゴール、8アシスト、5.2百万ポンド
アラン選手(25歳):9ゴール、3アシスト、5.2百万ポンド
サビツァー選手(20歳):9ゴール、9アシスト、2.2百万ポンド
ブルーノ選手(21歳):6ゴール、4アシスト 、7百万ポンド
(※右の数字は推定移籍金)

参考:
南野拓実選手(19歳):2ゴール1アシスト、31万ポンド


上の4選手は現在のレギュラープレイヤーであり、レギュラーである理由も数字で証明しています。


意地悪な比較になりましたが、その下には南野選手の2014シーズンの成績を並べました(移籍金はザルツブルクへの移籍に伴うもので、推定金額です)。
ザルツブルクの4選手が、シーズン途中の19ゲーム終了時点の成績であることも加味すると、リーグとしての実力も下と考えられるJリーグで1年プレーした南野選手の成績では、入り込む余地はほとんどない、と考えるのが妥当でしょう。


サッカー選手の成長について、一つだけ確実に言えることがあります。
それは、「ゲームに出なければ実力は落ちていく」ということです。


どんなに高いレベルのクラブに所属して毎日練習したとしても、ゲームに出ていた頃の水準を維持することはできません。


マンチェスター・ユナイテッドで出場機会を失っていた香川真司選手が、ドルトムントに移籍して半年してもなお、以前ほどの活躍が見られないのは、一つの例です。


よほどの頑張りを見せて、はっきりと評価される成績を残さない限り、南野選手に出場機会が与えられる可能性は低いでしょう。


その結果、以前のような動きを取り戻せず、苦労する時間を過ごすことになるかもしれません。
今回の移籍はそのようなリスクを伴っています。


それでも私は、南野選手の移籍は正しいと考えています。
たとえ、移籍したことによって実力を落としたとしても、です。


その理由は、Jリーグのサラリーの低さにあります。

Jリーグのサラリーを考えれば、海外に渡るのは当然の選択です

南野選手の移籍に賛成するのは、経済的な理由によります。
南野選手の年俸は、推定で1,000万円とされています。
ここまでの推移を見てみると、


2012年: 360万円
2013年: 360万円
2014年:1,000万円
(2012年はユース所属のためデータなし。便宜上、2013年と同等としています)


この金額にはどのような意味があるのでしょうか。
参考データとして、同じセレッソ大阪ユースからセレッソ大阪に昇格し、2014年もレギュラーとして出場した山口蛍選手の年俸の推移を見てみます。


山口選手はユースから順調にステップアップして、年代別の日本代表を経て、日本代表(フル代表)にまで上り詰めた選手です。
南野選手も、まだ、フル代表には招集されていませんが、年代別の代表には呼ばれていますので、山口選手のキャリアと類似していて、参考になります。

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この表を見てみると、日本代表でワールドカップに出場した山口選手でも、サラリーの伸びは非常に緩やかであることがお分かりいただけると思います。


サッカー選手のサラリーは、クラブの規模とクラブ内の序列によって決まります。
クラブにとって最も重要な選手に最も高いサラリーが支払われ、それを上限にして、序列が下がるに従ってサラリーも少なくなる仕組みです。


サラリーを上げるためには、同じクラブにいる限り、クラブ内の序列を上げるしかありません。
ですが、クラブの成績が良い場合も悪い場合も、出場している選手が等しく評価されることになりますから、得点やアシスト、代表への選出などで飛び抜けた成果を残せないと、出場している選手の中での序列を変えることは難しいのです。


Jリーグで6,000万円を越えるサラリーの選手の統計を取ったところ、その平均年齢はなんと32歳。
長い時間をかけてクラブ内の序列を上げて、運良く30歳を超えるまでプレーできた選手に、ようやく高いサラリーが支払われていることが分かります。


一方で、Jリーグの平均引退年齢は25歳前後とされていて、Jリーグでプレーする選手は、いつまでプレイヤーでいられるかの不安とも戦いながら、プレーしているとも言えます。


Jリーグでプレーする限り、長く続けなければサラリーは上がらない、しかし、長く続けられる可能性はそれほど高くない。となれば、稼げるときに稼いでおこうと考えるのが合理的な考え方です。


クラブ内の序列を上げる以外にサラリーを上げるには、より大きな規模のクラブへ行くしかありません。


南野選手が移籍するFCレッドブル・ザルツブルクはセレッソ大阪よりも大きなクラブです。
先述の通り、レギュラーとして迎えられるわけではない南野選手ですが(あくまで移籍の条件から見た推測です)、クラブから提示されたサラリーは約5,800万円(スポーツ報知の報道によります)。


現在の南野選手のサラリーが1,000万円ですから6倍にもなろうかという金額が提示された訳です。
この金額をセレッソ大阪で稼ごうと考えると何年かかるでしょうか。


現在24歳で日本代表経験のある山口蛍選手でさえ3,000万円です。
先ほどの表でみた増加率を参考にすると、5,800万円に至るには順調にキャリアを重ねたとして、あと2年はかかりそうです。


19歳の南野選手にとって26歳になるのは7年後。
そこまで順調にキャリアを積み重ねられて、やっと手に入るサラリーが目の前にある。
これだけのオファーを拒否することなどあり得ません。


サッカー選手としての成長を考えると疑問符がつきますが、ビジネスとしてサッカーを捉えると、南野選手の判断は非常に納得のいくものです。

セレッソ大阪にとっても悪い移籍ではありません

J2に降格させたまま、クラブから出ていくことに複雑な感情を抱いている方も、いないわけではありません。


「主力として出場していて降格させたのだから、J1に昇格させてから移籍を考えるべき」という意見です。
レギュラーとしてプレーしていた選手がいなくなるのですから、戦力の低下を懸念する気持ちも分かる気がします。


ですが、昨年の南野選手は2ゴール1アシストしか残していない選手にすぎません。
クラブへの貢献度はお世辞にも高いとは言えないでしょう。
率直に申し上げて、そんな選手が出ていったからと言って、戦力に大きな影響があるとは考えられません。


さらに南野選手は移籍金を残してくれました。
120万ユーロ(約1億7280万円 スポーツ報知の報道によります)という、かなりの金額です。


このお金があれば、Jリーグで実績を残している選手や、実力のある外国人選手を獲得することも十分可能です。


クラブの生え抜きである南野選手に拘るより、移籍で得たお金を使って実力のある選手を獲得する方が、J1昇格に向けた強いクラブを作れる可能性はよほど高くなります。


クラブにとっては1年でのJ1昇格が至上命題。
クラブへの貢献度の低い選手を移籍させて、そのお金で新戦力を獲得するというプランは、クラブ側にとっても、大きなメリットのある話なのです。

まとめ

南野選手の移籍は経済的な側面を考えると合理的な判断です。
移籍金を残してくれたことで、クラブにとっても十分なメリットを得たのですから、双方にとって意味のある移籍と言えるでしょう。
あとは、昨年の不振をオーストリアで払拭して、香川選手や本田選手に続く選手に成長することを祈るばかりです。
数字を追いかけるので、どうしても辛口になってしまうのですが、
南野選手には本当に期待しています。

<おまけ>
そろそろ甘いものの記事を書きたくなってきました。
ドーナツ以外の何かになりそうな気がします。

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