「”強さ”か?”愛”か?」 大量加入&大量放出のジェフ千葉が進む2016シーズン

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日本のプロサッカーリーグ”Jリーグ”は、現在シーズンオフ。
ゲームはありませんが、来シーズンのメンバー編成(どの選手を獲得して、どの選手を放出するかを決める作業)のため、慌ただしく動いています。
中でも目を引くのがジェフユナイテッド市原・千葉の動き。
選手の大量加入と大量放出で、ジェフのファン・サポーターだけでなく、
多くのサッカーファンに驚きを与えています。

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そして誰もいなくなった

ジェフユナイテッド市原・千葉は、Jリーグ2部のJ2リーグに所属するサッカークラブです。

JR東日本と古河電工が共同出資するクラブで、
Jリーグの中でも豊富な資金力を誇るクラブですが、2009年にJ1から降格。

早期のJ1復帰を見込まれていながら、J2の昇格争いを勝ちきることができず、
降格以後6年を経過した現在も、J2リーグに留まっています。

そして、来季、J2リーグ7年目を迎えるに当たって、
ジェフは大胆なチーム改革に打って出ました。

次の画像を見て下さい。

スクリーンショット 2016 01 11 14 15 44

2015年シーズン終了時点で、ジェフに所属していた選手です。
データはオフィシャルサイト「2015 SEASON MEMBER」を
基にしています。

このメンバーがシーズン終了後の移籍によって、
どうなったかというと、

スクリーンショット 2016 01 11 14 12 59
(これじゃ、”アタックチャンス”も始まりません)


こうなりました。

昨日の時点で、31人中、20人が抜けたことになり、
実に全体の70%近くの選手がいなくなりました。
(この中にも移籍の噂がある選手もいます)

※追記 2016年1月12日
名古屋グランパス公式サイトで松田力選手の復帰がリリースされました。
松田選手はローン(レンタル移籍)でジェフに移籍していたので、所属元の名古屋に戻ることになります。
これで放出が1人増えて、21人になります。

ー追記ここまでー

とは言え、残留した選手が11人いるので
「レギュラークラスは残って、控え選手中心に入れ替えたのでは?」

と思われるかもしれません。

念のため、昨シーズンのリーグ最終戦のスターターについて、
シーズンオフの動きを見てみると、

スクリーンショット 2016 01 11 17 12 39
(「footballtactics.net」で作成  白丸の選手が移籍、黄色の選手が残留です)


11人中、7人が移籍していました。

職場や学校で、いつも顔を合わせていた11人のメンバーのうち、
7人がいなくなると考えると、ジェフにどれだけのことが起こっているかが、
よく分かると思います。

控えもレギュラーも関係なく、総取っ替えです。
ジェフにとっての2015年シーズンて、なんやったんや…。

うちにはうちの、ジェフにはジェフの理由がある

驚きをもって伝えられている、選手の大量放出ですが、
それには理由があります。

成績

まずは成績です。
ジェフのここ10年の成績の推移を見てみましょう。

スクリーンショット 2016 01 11 17 48 01


年が進むほど順位を下げてきた、厳しい現実が見えてきます。

2009年にJ1の18位となって降格。
それ以後、J2に戦いの場を移しますが、6度のシーズンを経た今も、
J1昇格には手が届いていません。
しかも、昨年はJ2に降格してから最も悪い成績になってしまいました。

Jリーグ開幕から17年の間、J1に所属していたジェフですから、
そこに関わる人は皆「我々のいるべき場所はJ1」と考えているはずです。

それが、昨年はJ2で9位。
自動昇格(J2で1位、2位のクラブ)はおろか、
プレーオフ(J2で3位から6位のクラブが出場。勝者がJ1へ昇格)の出場権すら逃してしまいました。

この成績を見て、「大きく変えなければ」と考えるのは、
不思議ではありません。

”成績不振”が、選手大量放出の最大の理由と言えるでしょう。

クラブの予算

「J2リーグ 9位」

この順位だけで、それが良い成績か、悪い成績かを
判断することはできません。

たとえば、愛媛FCのようにクラブの規模が小さく、
予算(選手に支払えるサラリーの多さ)が少ないクラブにとっては、
「J2リーグ9位」は良い成績です。

ですが、ジェフは違います。

少し古いですが、2014年の資料を基に、
各クラブの人件費(=予算)を比べてみると、

スクリーンショット 2016 01 11 18 05 43

ジェフはJ2で上から4番目。

自動昇格の1位、2位は難しいものの、
最低でもプレーオフ圏内(3位から6位)には入っておかなければいけない規模です。

予算の大きさと順位を比較すると、
2015年のジェフは上手くいっていなかったのは、明らかです。

この状況を変える方法として、「選手の入れ替え」を選ぶのは、
合理的な判断と言えます。

カントク、切りすぎた

「状況を変えるにしても、”選手の入れ替え”以外の方法もある」
というのも正しい考えです。

「人を入れ替える」というときの”人”には、
選手以外の監督も含まれているはずですからね。

ところが、ジェフはすでにそれをやってきています。
次の表を見て下さい。

スクリーンショット 2016 01 11 18 22 58


ここ10年の監督の変遷です。

監督代行も含めると、ここ10年で12人がジェフの監督に就任しています。
成績はというと、先述の通りJ2へ降格し、未だJ2に留まったまま。

つまり、「何かを変える」ために”監督”を変えてきた結果が、
今のJ2リーグ9位だったということです。

「監督を変えてもダメだったから、次は選手」

という流れでしょうか。

それにしても、

「予算はある」「監督も変えてきた」「それでも結果が出ない」

という事情を考えると、ジェフもかなり追い詰められているように見えますね。

新しいチームにするために、選手を大量に放出することも、
仕方の無いことのように思えてきました。

ビジネスであればこそ、”愛”も必要

「J1で戦ってきた偉大な歴史」

「大きな予算規模」

「監督を何度も変えて臨んできたシーズン」

「それでもJ1に届かない厳しい現実」

なりふり構わず、強くしなければいけないクラブの事情は、
よく分かりました。
そのために、選手を大幅に入れ替えなければいけなかったことも。

ですが、一つ気になるのが、
選手の大量放出が、プロのエンターテインメントとして、
収益にどんな影響をもたらすのか、という点。

サッカーが競技面だけで成立しているなら、
「強さを求める」だけでOKだと思うのですが、

エンターテインメントとして、その収益を考える時、
選手を大きく入れ替えることのデメリットもありそうな気がしてなりません。


すぐに思いつくのが、アイドルグループのケース。

アイドルグループで、主要メンバーを含む70%近くが放出された後、
新しくメンバーを加えて再始動したとき。

それまで応援していたファンは、同じように応援するのかどうか。

この辺は、ももクロ、AKB、BABYMETAL、でんぱ組.inc、あたりの
ファンの皆さんに聴いてみたいところですが、

おそらく、ももクロの赤、黄、ピンク、が抜けて、
他のアイドルグループからメンバーを3人引き抜いてきても、
「ももクロ」として応援する人は多くないのではないでしょうか。

少なくとも、それまでの観客動員やグッズ収入を超えるのは
難しいと思います。

プロサッカーもアイドルグループも、ビジネスの形としては同じで、
そのグループ(サッカーならクラブ)にいるメンバーへの”愛着”や”思い入れ
によって成立しています。

「愛着がある」からチケットを買ってライブ(試合)を見に行くし、

「思い入れがある」から、特定のメンバーのグッズを買うんですよね。

最初は、テレビや動画で見たパフォーマンスに対する軽い興味だったものが、

少しでも一体感を感じたくなった時に、グループ(クラブ)やメンバーに、
お金を使うようになるのです。
(思いが強すぎると、面倒くさい人になりがちですけどね)

”愛着”も”思い入れ”も一朝一夕に生まれるものではありません。

ベテランのファンやサポーターは、クラブ自体を応援しているので(”箱推し”ですね)
事情は違いますが、

最近ファンになった人達が、
大きく入れ替わったメンバーを”ジェフの一員”として愛着をもち、
お金を使ってもらえるようになるまでには、時間がかかるように思うのです。

今回のジェフの大幅な選手の入れ替え。
成績がどうなるかも気になりますが、
「観客動員」や「グッズの売上」などへの影響がどうなるかにも注目です。

まとめ

ジェフユナイテッド千葉の選手大量放出は、
近年の成績を考えると納得できるものです。

その一方で、「マーケティング面でどのような影響があるのか」
も気になります。

おまけ

かつてジェフユナイテッド市原を率いていた、名将イヴィツァ・オシム監督は、
ある対談の席で選手の起用法について話が及んだときに、

古い井戸があります。そこには水が少し残っています。
それなのに、古い井戸を完全に捨てて新しい井戸を掘りますか?
古い井戸を使いながら、新しい井戸を掘ればいいんです


と、いきなり新しいメンバーにするのではなく、
今いるメンバーを使いながら、少しずつ新しいメンバーを入れていくべきだ
と言う趣旨の発言をされていました。

今のジェフは、そんなことを考える余裕もないところにまで来ている
ということなんでしょうね。

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