ラジオでのスポーツ中継の難しさ

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日本時間の今朝、アメリカンフットボールの祭典、スーパーボウルが開催されましたが、その裏で日本で初めての試みが行われていました。

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唐突なスーパーボウルのラジオ中継

午前中は少しだけラジオを聞いてから、仕事を始めます。


特定の局ではなく、色々な局をザッピングするのですが、今朝は特別目を引くプログラムが。


東京のFMラジオ局、J-WAVEが、国内で初めてスーパーボウルを生中継したのです。


狙いとしては、ハーフタイムショーにケイティ・ペリーが出演することから、洋楽ファンに向けて新しいコンテンツ(スポーツ中継)をアピールすること。


また、東京オリンピックに向けて、スポーツ中継にどの程度の需要があるかを確かめ、今後のプログラム編成の参考にすること。


などが、あったと思われます。


ですが、洋楽=J-WAVEの関係は過去のもので、現在は、主に邦楽とおしゃべりが中心のプログラムで編成されていますし、スポーツを求めて朝のJ-WAVEを聞くリスナーはほとんどいないと思われます(スポーツニュースならAMの方が充実しています)。


「何でJ-WAVE?」
「何でスポーツ?」
「何でスーパーボウル?」


日本初のラジオでのスーパーボウル中継には、ラジオ局の意気揚々とした雰囲気とは反対に、違和感と、たくさんの疑問が残りました。

ラジオのスポーツ中継 メリット・デメリット

「J-WAVEでスポーツ」には違和感だらけですが、ラジオのスポーツ中継自体はポピュラーな存在です。


日本では野球がおなじみですし、ヨーロッパではサッカーをラジオで楽しむファンも多くいます。


スポーツ中継はテレビがメインですが、ラジオにもメリットがあります。

制作費が安い

近年、TV業界は視聴率低下に苦しんでいますが、例外なのがスポーツ中継。


昨年行われたFIFAワールドカップを始め、オリンピック、最近ですと、箱根駅伝やテニスの全豪オープンなど、視聴者の関心を集めて、高い視聴率を獲得しました。


テレビ局にとって、ドル箱とも言えるコンテンツですが、その一方で問題になっているのが放映権料の高騰。

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(注 ロンドンオリンピック以降は冬季も含んだ金額)


メジャーなスポーツイベントであるFIFAワールドカップとオリンピックの放映権料の推移です。


直近だと、FIFAワールドカップのブラジル大会は400億円で、1998年開催のフランス大会(60億円)の約67倍。


オリンピックの放映権料は、東京オリンピックまで合意されていて、その額、660億円(ただし、2018年の平昌冬季オリンピックを含む)。2000年のシドニー・オリンピック(約140億円)と比べると、約4.5倍です。


オリンピックについては、その放映権料の高さから、買い取りをとりやめる動きもあったほど。


簡単には手を出すことができないレベルにまで到達しました。


もちろん、ラジオの放送権も高騰しますが、そもそもの金額設定がテレビの比ではありません。
(放映権・放送権は、一括で放映権料を取得した会社から、さらに、各TV局、ラジオ局が買い取る仕組みです。上の金額は、一括で買い取った会社が、主催者であるFIFAやIOCに支払う金額)


番組制作も少人数で可能なので、全体としてのコストが少なくて済みます。

ラジオは手軽

ラジオはTVに比べて手軽です。


通勤・通学の電車やバスの中で、移動中の車の中で、場合によっては仕事中や授業中でも(本当はダメですけどね)、聞こうと思えば聞くことができます。


TVの場合は、モバイルでも視聴できますが、それでも、目と耳の両方を奪われたり、ある程度TVから離れる必要があったり、見るハードルが高くなります。

情報が少ない分、熱狂度が上がる

ラジオは集中力が必要とされる分、熱狂度も高くなります。


TVの場合、音だけでなく映像による情報があります。
重要なシーンなら繰り返しリプレイがあって、すぐに見直すことも可能です。


ですので、そこまで集中しなくても内容が分かることから、ゲームに入って行く気持ちの度合いが、そこまで強くありません。


それが、ラジオの場合は、音の情報だけ。
重要なシーンでも、実況がリプレイされることはありませんし、聞き逃してしまった時のガッカリの度合いは、TVと比べものになりません。


結果、ラジオでは1秒も聞き逃さないように聞き入ることになり、その分、ゲームへの熱狂度が上がることになるのです。

ラジオのスポーツ中継にはこのようにメリットもありますが、もちろんデメリットもあります。

TVの存在

身も蓋もありませんが、映像のないスポーツ中継はどうしても不利です。


TVとラジオは、ジャンルが違います。


ラジオは、TVと真っ向から戦うのではなく、「TVに無くて、ラジオにあるもので」勝負しなければいけないのです。


それは、「おしゃべり」「音楽」「規制の緩さ」「リスナーとの距離」など。


「映像によって比重が下がってしまった要素」や、
「影響力が小さいからこそできる要素」などのことです。


ですが、スポーツ中継では、そういった要素が生かせません。


映像の強さこそが、スポーツ中継の強みであって、それはTVの強み。


スポーツを扱うのは、TVと同じ土俵で勝負することであって、無理があるのです。

実況・解説との相性

ラジオは”音”しか情報がありませんから、消音することができません。


TVの場合は、消音して映像だけで楽しむという選択肢があります。


もし、実況や解説が気に入らなかった場合。


ラジオは別の局に変えるか、消してしまうしかありませんが、TVなら、消音するだけで、中継自体を諦める必要はありません。


スポーツ中継では、この実況・解説で不快な思いをすることが多いので、”音”しかないラジオの中継を聞き続けるというのは、かなり難しいことです。


こういった、実況・解説から解放されない、ラジオのスポーツ中継は利便性に欠けることになります。

プレイのすごさが分からない

どれだけ巧みな実況でも、どれだけ細やかに描写されても、言葉だけで、プレイの「すごさ」が真の意味で伝わることはありません。


映像がある場合ですら、専門家の解説があってはじめて分かる「すごさ」もあるくらいです。


スポーツの醍醐味の一つは、想像もしないようなプレイを見て、驚いたり興奮したりできること。


それを手放さなければいけない、ラジオ中継はどうしても価値が劣ってしまいます。

ラジオは次善の策 競技に精通していて、勝敗だけで楽しめる人だけ

ラジオのスポーツ中継のメリット・デメリットを見てきましたが、「ラジオは、スポーツ中継には向かない」と言うのが現時点での結論です。


映像がなくてもスポーツを楽しめるのは、


・その競技をよく知っていて、言葉で一つ一つのシーンを、 
 ある程度イメージできること

・細かいプレーではなく、勝敗の行方だけで楽しめること


このどちらかを満たす場合でしょう。


となると、特定のチームのファンで、そのチームが勝つことを喜びにできる、コアなファンが主な対象になります。


FIFAワールドカップやオリンピックのように、「日本代表の勝利」を目的に応援するようなケースはいいでしょう。


ですが、ゲームの流れやチーム戦術、プレイの素晴らしさ、など、勝敗以外の要素を楽しむには、映像が不可欠。


いくら手軽と言っても、録画やネット配信で好きな時間に映像が見られる環境では、リアルタイムに拘って、ラジオを聞くという選択肢に、あまり魅力は無いでしょう。


「どうしてもリアルタイムで勝敗を知りたい」
「だけどTVを見られない」
といった限られた条件の場合にのみ、ラジオが選ばれるように思います。

まとめ

スポーツ中継は、あまりラジオには向かないと感じています。
ラジオの可能性が広がるのはいいですが、その特性を生かす方向で、新しいコンテンツを作り上げてもらいたいと願っています。

<おまけ>
アメリカでの、スーパーボウルへの熱の入り様は凄まじいです。
ラジオではなく、現地で見てみたいです。

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