Jクラブ個別経営情報開示資料(平成27年度)公開! 経営上手なクラブはどこだ?(J1編)

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今年5月に速報として伝えられていた、Jリーグ各クラブの経営状況。詳細版が公開されましたので見てみることにしました。今回はJ1編です。

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J1リーグ全体の傾向

Jリーグ各クラブは、各期の財政状態と経営成績を「Jクラブ個別経営情報開示資料」として公開しています。

今回は、クラブの業績を表す損益計算書を中心に、過去4期と比較しながら、2015年度(平成27年度)のJリーグ各クラブの傾向を分析することにします。

まずは、概要からです。

J1リーグの売上合計

J1リーグ所属クラブの売上合計の推移です。

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2015年度は前期から約+8.7億円と600億円を越えましたが、増加率で見てみると約+1.5%と微増でした。

次に、内訳です。

広告料収入

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広告料収入は12億円の減少で、かなり大きなマイナスになりました。
これは、広告料収入が大きいセレッソ大阪と大宮アルディージャが降格したことによる影響と考えられます。

入場料収入

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入場料収入は約6億円の増加。
2014年がマイナスでしたが、プラスに転じた上に2013年度を越える収入になりました。これは良い傾向です。

Jリーグ配分金収入

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Jリーグ配分金は、Jリーグから配分される順位賞金や放映権料などによる収入です。Jリーグの放映権はJリーグが一括して管理していて、放送局(現在はスカパー!)から支払われる放映権料をJリーグが受け取った後、各クラブへ配分する形になっています。

順位賞金については2ステージ制になったことによる、ステージ優勝の賞金の分増加。また、放映権料も年々増加しています(2014年:48億3千万円、2015年:49億7千万円)。

とすれば、Jリーグからの配分金は増えていても良さそうですし、Jリーグの資料によると、2015年の分配金は前年よりも増えているのですが、J1リーグのクラブに限定すると、年々減少しています。

これは、2014年からJ3リーグがスタートして、J3リーグにも分配金が支払われるようになったことから、J1、J2に所属するクラブへの分配金が削られたのが大きな要因と考えられます。

その他収入

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おっと、これがかなり大きいですね。
「その他収入」は主にグッズの売上などが含まれますが、それにしても、「入場料収入」を越えるような大きさになってますから、もう少し細分化して開示すべきでしょう。

前期比で見てみると、18億円も増えて+16%増。
過年度も見てみると、かなり増減が激しくなっているので、ひょっとすると、科目を頻繁に変えているのかもしれません(あくまで推測です)。

このように見てくると、広告料収入(-12億円)、入場料収入(+6億円)その他収入(+18億円)で補うことで、全体の売上が増加したことが分かりました。

人件費

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「チーム人件費」の主な内容は、選手のサラリー(年俸)です。
優秀な選手ほど多くのサラリーを支払う必要があることから、チーム人件費の大きなクラブほど、優秀な選手が多く在籍し、結果的に良い成績を上げる可能性が高くなります。

従って、「チーム人件費」と「チームの強さ」は比例すると考える事ができるので、「チーム人件費」は、チームの強さを測る指標として位置づけられているのです。

推移を見てみると、前期からは若干減少しています。
これは、規模の大きなセレッソ大阪と大宮アルディージャがJ2に降格し、比較的規模の小さな湘南ベルマーレ、松本山雅FC、モンテディオ山形がJ1に昇格したことによる影響が大きいと考えられます。

J1リーグ全体としては、チーム人件費は増加傾向にはありますが、他国のリーグでは選手のサラリーも、移籍金も著しく増加していますから、その流れに追いつけないと、リーグとしての競争力を落としてしまう可能性があります。

クラブ別の順位

次に、クラブによる順位を見ていきます。

売上

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1位は浦和レッズで約60億円。
2位のFC東京を約14億円上回る圧倒的な1位です。

2位以下はFC東京、横浜Fマリノス、名古屋グランパス、鹿島アントラーズ、ガンバ大阪と続きますが、40億円台でかなり狭い範囲に収まっています。

(※色づけしたのは特に増加率の高いクラブです。後ほど内訳を見て増加理由を分析します)

また、注目したいのが、17位と湘南ベルマーレと18位ヴァンフォーレ甲府の2クラブ。

J1の中での売上は最も少ないクラブの2つですが、それでもこの両クラブはJ1の厳しい戦いを勝ち抜き、堂々とJ1残留を果たしています。

この事実は、地方のスモールクラブに大きな希望を与えるもの。
売上15億円なら、現在J2に所属している多くの地方クラブでも達成可能なラインですから、J1昇格を現実的な目標として戦えます。

次に、内訳を見ておきます。

広告料収入  (単位:百万円)

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広告料収入が大きく伸びたのは、ヴィッセル神戸、サガン鳥栖、松本山雅FC、モンテディオ山形の4クラブ。特に、ヴィッセル神戸と松本山雅FCは伸び率が100%を越えています。

ヴィッセル神戸は親会社の楽天からの広告料増加、、サガン鳥栖はシーズン途中でゲーム制作会社のCygamesとのスポンサー契約を結んだこと。松本山雅FCとモンテディオ山形はJ1昇格による地元企業からの広告料が大幅に伸びた結果だと考えられます。

サガン鳥栖がCygamesとスポンサー契約を結んだのは、Cygamesの社長である渡邊耕一さんが佐賀出身だったことが、大きく影響しています。

こう言う形でスポンサーになってくれる会社が現れると、クラブにとってはありがたいですね。

入場料収入 (単位:百万円)

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入場料収入で売上を伸ばしたのはガンバ大阪、川崎フロンターレ、松本山雅FC、湘南ベルマーレ、モンテディオ山形の5クラブ。

ガンバ大阪は、ホームスタジアムの市立吹田サッカースタジアムの竣工によって収容人数が増えたこと。川崎フロンターレは、クラブが好成績を収めると共に、ホームスタジアムの等々力陸上競技場の改修工事が完了し、収容人数が増えたこと。

また、松本山雅FC、湘南ベルマーレ、モンテディオ山形の3クラブは、J1昇格によって強豪クラブとの対戦が増えて入場者数が増加したことと、料金もJ1昇格に合わせて値上げしたことが主な要因と考えられます。

Jリーグ配分金 (単位:百万円)

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Jリーグ配分金が大きく増加したのは、ガンバ大阪、FC東京、松本山雅FC、モンテディオ山形、湘南ベルマーレの5クラブ。

ガンバ大阪は、ACL出場、FC東京はリーグ戦の順位が前年の9位から4位と、成績面での向上による増加。松本山雅FC、モンテディオ山形、湘南ベルマーレの3クラブはJ1昇格による増加と考えられます。

ただ、Jリーグ配分金の額は非常に小さく、売上の中の5%程度から最大でも12%程度にしかなりません。Jリーグでは、各クラブに成績やリーグへの貢献度などに応じて傾斜配分していますが、この程度の金額であれば一律で配分してしまっても構わないような気がします。

クラブの立地や親会社の大きさによって、広告料収入や入場料収入で十分大きな差が付いているわけですから、リーグからの配分金くらいはその差を是正する方向で配分額を決める方が、リーグのレベルを維持するためにも良いと思います。

人件費

次に人件費です。
人件費は先述の通り、選手のサラリーがメインです。
この金額が大きいほど、優れた選手が多く所属することになるため、クラブの強さの指標になります。

結果は次の通りです。

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1位は約21億円の浦和レッズ。
2位以下は名古屋グランパス、鹿島アントラーズ、ガンバ大阪とつづきますが、ほぼ20億円で大きな差はありません。

2015年の段階では、J1優勝を狙うクラブは、このレベルの人件費が必要になるということです。

ただし、2015年のJ1リーグチャンピオンは、人件費7位のサンフレッチェ広島ですから、この辺はJ1リーグの面白いところです。

一方で、人件費16位のヴァンフォーレ甲府。
人件費の順位で行くと、J2への降格圏ですがしっかり残留しているのは、本当に凄いことです。しかも、過去2年も人件費の順位は16位、18位と降格圏ながら残留を果たしていますから、クラブとしての底力を感じます。

経営上手なクラブ1位は、湘南ベルマーレ! 
勝ち点1あたりの人件費

勝ち点1とるために必要な人件費の順位です。
少ない出費で勝ち点1を取れるクラブこそが、経営上手なクラブといえます。

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結果は、湘南ベルマーレが第1位でした。
勝ち点1あたりにかかった人件費が約1,500万円。2位の甲府が約2,000万円ですから、このコストパフォーマンスは驚異的です。

しかも、年間の最終順位は8位という好成績。
残留はもちろん上位を争おうかというポジションを獲得してのフィニッシュですから、成績面、経営面の両方で優れた成果を上げた、2015年のベストのクラブと言えるでしょう。

2位はヴァンフォーレ甲府。
甲府も、高いコストパフォーマンスを発揮しつつ、J1残留を達成しました。
地方のスモールクラブとして、いかにJ1で生き残るかの答えを出し続けています。
全国にあるたくさんのスモールクラブが、お手本にしたいクラブの1つです。

ちょっと面白いのが、4位のサンフレッチェ広島。
広島は、一般的にはお金をかけないでクラブを経営しているイメージがありますが、2015年は人件費が7番目に多いクラブになっています。そもそもの人件費が大きいクラブは、勝ち点1あたりにかかる人件費は多くなってしまうのですが、広島は人件費7位にもかかわらず、年間勝ち点1位を獲得することで、上位にくることになりました。

反対に、最もコストパフォーマンスが悪かったのが清水エスパルス。
シーズン中に積極的に補強に動いたものの、思うように勝ち点を伸ばすことができず、16位の降格圏に沈んでしまったことが響いてしまいました。

まとめ

J1リーグで勝ち点1あたりの人件費の額が最も少ない、経営上手なクラブは、湘南ベルマーレでした。

おまけ

名古屋グランパスは、今年もかなりの人件費をかけているはずですが、かなり苦戦しています。夏の移籍ウインドウももうすぐ閉まりますし、打てる手はどんどん少なくなっています。監督解任もありそうです。

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