footballとお金の関係

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FIFAワールドカップも残すところファイナルと3位決定戦の2試合となりました。衝撃の展開になったセミファイナルですが、その結果は妥当だったのか。お金の側面から振り返ります。

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footballにロマンはないのか?

2012年8月26日web Sportivaに掲載されたサイモン・クーパー氏の「なぜリバプールの成績はここまで悲惨なのか」に興味深い記述があります。

“スポーツ経済学者のステファン・シマンスキーが言うように、フットボールではたいていの場合、選手年俸が最高のクラブが優勝し、最低のクラブが最下位になる。
中略
 選手年俸の総額とリーグ順位の相関関係は、1シーズンだけを見ると約70%にとどまる。しかし連続した10シーズンを見れば、90%を超える相関関係がある。”

Column
(出典:web Sportiva 「サイモン・クーパー football online」 footballのシビアな現実を指摘するクーパー氏のコラム )

クーパー氏は、「成績は選手に支払えるお金によって決まる」というシンプルですが冷酷なfootballの現実を指摘します。
今やワールドカップ以上のステイタスとビジネスの規模で行われクラブチームの頂点を決めるUefaチャンピオンズリーグ。今年の覇者はスペインのレアルマドリードで、その年俸総額は約1億9千4百万ドル、日本円で約197億円(出典:ESPN HP「 Highest-paying teams in the world」)にのぼり、世界のスポーツクラブの中で第2位の金額です。ちなみに、第1位は同じスペインのライバルチームFCバルセロナで2億1千7百万ドル、日本円で約220億円。こちらもチャンピオンズリーグではここ7年間で優勝2回、ベスト4以上が6回と優勝チームが毎年入れ替わる中で脅威の勝率を残しています。

FC Barcelona
(出典:web Sportiva FCバルセロナの強さは資金力によっても裏付けられています)

その他、上位を見てみるとマンチェスターシティー(イングランド1億8千5百万ドル)、バイエルンミュンヘン(ドイツ  1億7千万ドル)、チェルシー(イングランド 1億6千9百万ドル)、インテルミラノ(イタリア 1億4千2百万ドル)と、オーナー交代で急激に大きくなってきたマンチェスターシティーを除けば、ここ数年で優勝経験のあるチームばかりです。
このようにクーパー氏の指摘は、クラブレベルではほぼ証明されています。お金次第で自由に移籍できるヨーロッパでは、実力のある選手は高額の年俸を提示されてビッグクラブへ移籍すると言うサイクルが確立されていて、資金力のあるクラブに実力のある選手が集まるようになっているからです。

では、国別対抗戦であるFIFAワールドカップ。お金でも移籍できない(それを望む選手もほとんどいませんが)”国籍”による制限がある大会ではどのようになっているのでしょうか。

ワールドカップでもお金による優劣は明らかに

早速、1−7の衝撃的なスコアとなったセミファイナル第1戦のブラジルードイツ戦について、スターティングメンバーの年俸と総額を見ていきましょう。なお、選手個人の年俸は非公表のため金額は推定です。TSM PLUG,ESPN,Wage indicator org.等のサイトを参考にしています。

ブラジル
GK 12 ジュリオ セーザル   434,075,000円
DF 4 ダビド ルイス         651,112,500円
DF 6 マルセロ                       360,282,250円
DF 13 ダンテ                        694,520,000円
DF 23 マイコン                     413,670,000円
MF 5 フェルナンジーニョ       781,335,000円
MF 11 オスカル                    586,001,250円
MF 17 ルイス グスタボ       1,103,120,000円
FW 7 フッキ                         689,450,000円
FW 9 フレッジ                      409,766,800円
FW 20 ベルナール                631,536,200円
Total                                 6,754,869,000円

ドイツ
GK 1 マヌエル ノイアー            911,557,500円
DF 4 ベネディクト ヘーベデス   413,670,000 円
DF 5 マッツ フンメルス             879,462,420 円
DF 20 ジェローム ボアテング    607,705,000 円
MF 6 サミ ケディラ                 868,150,000 円
MF 7 バスティアン シュバインシュタイガー
                                            1,172,002,500 円
MF 8 メスト エジル               1,389,040,000 円
MF 16 フィリップ ラーム      1,041,780,000 円
MF 18 トニ クロース               564,297,500 円
FW 11 ミロスラフ クローゼ     364,623,000 円
FW 13 トーマス ミュラー        737,927,500 円
                                    Total 8,950,215,420 円

結果の衝撃が大きかった両チーム対戦ですが、年俸の観点からは全く妥当な結果と言わざるを得ません。両者の間には22億円と言う勝負を決定づけるに十分な差があり、それが表れたに過ぎないと言うわけです。

しかし、ブラジルには中心選手と言っても過言ではない2人の選手が出場していませんでした。ネイマールとチアゴ・シウバです。勝負にifはありませんが、お金がそれほどまでに物を言うなら、お金のデータだけでその勝敗を占うことにも意義があるはず。ブラジルのメンバーからDFのダンテ、FWのベルナールを外し、ネイマール、チアゴ・シウバを加えて年俸総額を計算し直してみます。ブラジルの年俸総額は、8,296,924,800 円となりますが、それでもドイツの8,950,215,420 円に約6億5千万円及びません。ブラジルにとって彼らの離脱は大きな痛手でした。ですが、彼らがいたとしても勝敗を覆すほどの影響はなかったと考えるのがデータから導かれる結論です。

Neymar Jr
(出典:Goal.com ネイマールの欠場は大きな痛手でしたが勝敗への影響はなかったと考えるべきでしょう)

次に、PKまでもつれ込んだアルゼンチン、オランダ戦です。

アルゼンチン
GK 1 セルヒオ ロメロ                 165,468,000 円
DF 2 エセキエル ガライ              689,450,000 円
DF 4 パブロ サバレタ                 466,068,200 円
DF 15 マルティン デミチェリス 821,824,400 円
DF 16 マルコス ロホ                    88,249,600 円
MF 6 ルーカス ビリア                165,468,000 円
MF 8 エンソ ペレス                   110,312,000 円
MF 14 ハビエル マスチェラーノ 827,340,000 円
FW 9 ゴンサロ イグアイン          579,138,000 円
FW 10 リオネル メッシ           2,206,240,000 円
FW 22 エセキエル ラベッシ      551,560,000 円
                                     Total 6,671,118,200円

オランダ
GK 1 ヤスパー シレッセン          72,392,250 円
DF 2 ロン フラール                             217,037,500 円
DF 3 ステファン デ フライ                   551,560,000円
DF 4 ブルーノ マルティンス インディ   173,630,000円
DF 5 ダレイ ブリント                          103,417,500円
MF 6 ナイジェル デ ヨング                   413,670,000円
MF 10 ウェスレイ スナイデル               441,248,000円
MF 20 ジョルジニオ ワイナルドゥム    173,630,000円
FW 9 ロビン ファン ペルシー             2,118,286,000円
FW 11 アリエン ロッベン                   758,395,000円
FW 15 ディルク カイト                       392,986,500円
                                                Total 5,416,252,750 円

こちらもデータ通り。年俸総額で約12億円上回るアルゼンチンがオランダに勝利しました。オランダの攻撃の核であり今大会3得点を上げてランキング5位につけていたアリエン ロッベン。彼に全く仕事をさせずオランダを0点に押さえ込んだのがアルゼンチンのハビエル マスチェラーノでした。

Javier
(出典:Goal.com チームリーダーのマスチェラーノ。人格者として知られチームメートから絶大な信頼を集める)

この試合の最優秀選手に推す声も大きかったマスチェラーノ。年俸は8億2千7百万円、両チームを通じて3番目(守備の選手としてはトップ)に高い年俸で、勝負を決める力を持つ選手として評価されその実力を遺憾なく発揮していたことがわかります。

それでも物語は生まれると信じています

サッカーの世界の現実であるお金と成績の関係は、ワールドカップのセミファイナルでも当てはまっていました。このまま行くと、ファイナルではアルゼンチンを年俸総額で約22億円上回るドイツが優勝と言うことになりそうです。でも、この通りでは面白くありません。驚きや劇的な展開を好む私はどうしても逆転を期待してしまうのです。

先に述べたチャンピオンリーグ、優勝したのはレアルマドリードでしたが、2位になったのは意外なチームでした。それが同じマドリードをホームとするアトレティコマドリード。このチームの年俸総額は約65億円、レアルマドリードの3分の1以下で資金規模は決して大きいとは言えません。ですが、クォーターファイナルでバルセロナをセミファイナルでチェルシーを破り決勝で力尽きるまで快進撃を続けました。

Atrety
(出典:アトレティコマドリードオフィシャルサイト 見る者を熱くした今年のアトレティコ。フットボールの可能性を感じさせてくれます)

また、昨年は優勝チームがバイエルンミュンヘンで、2位になったのがボルシアドルトムント。ドルトムントの年俸総額は約91億円でバイエルンミュンヘンの約半分でした。特筆すべきはこのチーム、セミファイナルで年俸総額が倍以上だったレアルマドリードを破っているのです。お金が支配すると言われるサッカーの世界ですが、実は驚きの物語が次々と生まれています。

そして、最初のクーパー氏の指摘に戻ります。クーパー氏は
”選手年俸の総額とリーグ順位の相関関係は、1シーズンだけを見ると約70%ー以下省略ー”
と言っています。つまり、1シーズンを通じて争うリーグ戦についてはあてはまりますが、短期間で優勝を決めるトーナメントでは必ずしもお金と成績の関係が強いとは言い切れないと言うことです。トーナメントでは驚きの物語を期待してもいいのではないでしょうか。

まとめ

ファイナルにはドラマを期待してます。
<おまけ>
これを書いている間に、かみつき事件で有名になったスアレス選手のバルセロナ移籍のニュースが入ってきました。
選手の移籍もサッカーの楽しみの一つですね。

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