渋谷の夜と嶋野百恵

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今の時刻は午前5時。ランで家まで帰ってきました。なかなか見られないライブがあったので思い切って見に行ったのです。そのシンガーの名前は嶋野百恵。渋谷の夜に甘くて狂おしい大人の女性の声が響きました。

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シンガーとしては普通、他の才能が特別

私は嶋野百恵さんのファンではありません。音楽は大好きですが特定の歌手やコンポーザーを追いかけるわけではなく、楽曲を好きになるだけです。

好きな曲をたくさん作り出せる人、と言うことで好きなコンポーザーの名前を答えることはできますが、同じ人が作っていても全然心に響かないものもたくさんあるのです。まして、シンガーが誰かで好きになることなどあるわけがなく、楽曲を邪魔しないでいてくれる歌手が良い歌手だと思っていますから、反対に聞こえよがしに歌い上げるようなシンガーは好きになれません。

当然ですが、評価は人によって異なることを前置きした上で、歌手としての嶋野百恵さんの私の勝手な印象を書かせてもらうと、普通のシンガーということになります。楽曲を殺さないと言う意味では良いシンガーですが特別な特徴はないと。
ただし、彼女は別の凄い才能を持っています。それは良曲を引き寄せる力です。彼女の人柄やボーカリストとしての姿勢、アーティストとしての執念、運の強さ、など様々な要素が絡んでいると思いますが、彼女に曲を提供しているメンバーが半端ないのです。もちろん、優れたコンポーザーが作るからと言って素晴らしい曲になるとは限りません。ですが、彼女に提供された曲はどれもこれも驚くような質の高さで、これだけ良曲が集まるのはもう彼女の力、彼女の才能と言わざるを得ません。
特にajapaiが編曲に参加した「cream」、藤本和則が提供した「ためらいの糸」などは両極をなすようなテイストの違う楽曲ですがインパクトは強烈で何年でも聞き続けられるような質の高さです。

これだけの才能を持った嶋野百恵さんですが、残念なことに頻繁にライブをやる人ではないのです。しかも、2週間くらい前に急にブログで告知があり、クラブにフラッと現れて1時間くらい歌って帰って行くようなカジュアルさです。そのせいでライブ情報を見逃すことも多く何度か後悔していたのでした。今回はofficial blogをfeedlyに登録して逐一情報を収集。その甲斐あってライブの開催予定を知ってスケジュールにいれることができました。

SOUND MUSEUM VISIONへ

渋谷駅で降りて道玄坂を上ると中腹にそのクラブはありました。SOUND MUSEUM VISIONです。

Vision

始めて行くクラブですが大箱でキャパは1,500。スケジュールを見るとクラブイベントが中心で、たまにライブも開催されます。ジャンルは様々です。有名なDJが参加するイベントが多くライトなファンでも楽しめるクラブだと思います。

到着したのは0時30分。普段ならもう寝る時間ですが今日は特別です。フロアを見回すとまだ人も少なく男性がほとんど。格好はラフですが比較的年齢層が高めで落ち着いた雰囲気です。通常、メインのアーティストの登場は2時か3時ごろになります(クラブでは出演時間を教えてくれることはほとんどありません。ビジネスとして情報を隠しているのでしょうが客に対して不親切すぎです。ここは改善してもらいたいところ)。前半頑張ってくれるDJの皆さんには悪いのですが、それまでは少しだけお酒を飲みながら座ってひたすら待ちます。

ライブ

時刻が3時を回ったころ、TINAさんの最後の曲「STARTINGOVER」が終わり、素早くセットチェンジ。私が飲み物を買いに行こうとしたその瞬間、耳慣れたイントロが流れてきました。どのライブでも必ずセットリストに入っている、デビュー曲でありながらマスターピースとして位置づけられる「baby,baby,service」。嶋野百恵のライブがスタートしました。
彼女は、青地に白い花柄をあしらったノースリーブのワンピースという艶やかな出で立ちでステージに現れました。クラブの熱気と夏の夜の湿気に頬を紅潮させながら、汗をぬぐうこともなく1曲1曲を丁寧に歌い上げます。

お客さんも最高に楽しそうに踊りながら彼女のパフォーマンスに応えます。期待を全身で表現しながらもそれが重くなりすぎないような、つまり、本当に適度な距離感でライブを楽しんでいました。

間を置かずに流れてきたのが「ためらいの糸」。優しくて切ないメロディがフロアに伝わっていきます。この曲は私も最高に気に入っている曲で軽く感動すら覚えました。歌詞、メロディ、リズム、コーラス、全てからだが覚えています。最初から最後まで彼女の歌に合わせて私も歌いきりました。

続いて、1stアルバム「531」に収録されている「45℃」。

531

(ファーストアルバム「531」)

切ない歌詞でありながら、楽曲はパワフル。visionの音響はあまりよくなくて、特に高音の抜けが悪くバリバリと雑音のように割れてしまいます。「45℃」にとっては相性の悪いステージですが、お構いなしでした。お客さんの発している好反応に呼応するように、彼女はめいっぱいの高音をフロアにぶつけます。お客さんも敏感に反応して大きなアクションで応えていました。

次は2ndアルバム「Roots」に収録されている「Hot Glamour」。小気味良いリズムと心地よいメロディで観客を酔わせます。嶋野百恵さんの詩は全般に重いのですが、曲の持っている爽やかな感触が聞く者の心を晴れやかにしてくれるのです。もうこの頃には彼女とお客さんの一体感が最高潮に達していました。
さぁ、ここからお気に入りの「朝」や「cream」は来るのか?、とワクワクしていましたが、ライブはこの曲で終了。彼女は最後の言葉を残して颯爽とステージを後にしたのでした。

4曲、30分。短いステージではありましたが、最高のパフォーマンスで楽しませてくれました。「できればもっと見たかった」とお客さんに思わせただけで完全にアーティストの勝利です。素晴らしい時間はあっという間、時刻は3時40分を回っていました。
用が終わったらさっさと切り上げます。ランで青山通りを抜けて家に帰ります。(よい子はクラブの近くにホテルを取ってゆっくり過ごすようにしてくださいね。)

まとめ

ライブはこの世界にあるエンターテインメントの中で最高のものの一つだと思っています。
ただし、今日味わえるものが、来年同じように味わえるわけではありません。
心にひっかかる何かがあれば迷わず足を運びましょう。きっと素晴らしい経験になりますよ。
<おまけ>
朝4時に外苑西通りを走っていたら、蝉が鳴いていました。
もう眠くてたまりません。みなさん、お休みなさい。

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